教科「情報」の教員養成について、この分野に関心や経験をお持ちの講演者を招き、シンポジウム形式で議論を行ないます。
文部科学省の学習指導要領の改訂により、2002年度から小中学校における情報教育が増強され、さらに2003年度からは高等学校において新教科「情報」が開始された。当委員会は 、この教育課程の改善をわが国の将来に関わる重要な1ステップと捉え、専門的・実践的な見地から情報教育について調査と提言を行ってきた。また、2005年より、高校教科「情報」シンポジウムを開催してきた。
第1回(2005年10月)「高校教科「情報」の現状と将来」は、永井 克昇(文部科学省 初等中等教育局 参事官付教科調査官)氏を基調講演に招き、高等学校における「情報」の教育のあり方、特に現状分析と、将来像を考える議論を行った。このシンポジウムで得られた成果のひとつとして「日本の情報教育・情報処理教育に関する提言2005」がある。これは情報処理学会名で公表され、マスメディア等でも取り上げられることになった。
第2回(2006年10月)「高校教科「情報」シンポジウム2006 −ジョーシン06−」は、情報処理学会「情報」試作教科書の公表を行い、また、石岡 恒憲(大学入試センター)氏を基調講演に招き、高等学校における「情報」と生徒の学習評価、大学入試について議論を行った。このシンポジウムで得られた成果は、2007年6月の「大学入試と情報フォーラム2007」における情報処理学会版「情報」試作問題の発表へとつながった。
我々は高等学校の教科「情報」に関するさまざまな問題について議論を行ってきたが、これらのシンポジウムを通して、主に大学の理工系学科に関連する教員が多い情報処理学会の立場で、高等学校における「情報」の教員免許養成課程について、議論を行う必要があることが明らかになった。
ただし、教員養成課程は、理工系情報の専門職のための課程のみが関わる内容ではない。教育工学、メディア、教育学などを主たる領域とする大学・学部・学科等でも「情報」の教員養成が行われている。それゆえ、情報処理学会の立場のみの独善的なシンポジウムを行うのではなく、関係学会における著名な研究者を招待講演者として招き、さらに現場の高校教員からの報告を含む多様な意見を聞きながら、バランスの取れた議論を行う場になるように計画をするべきである。
以上の理由により、2007年度においてもシンポジウムを開催し、特に高校教科「情報」に関する専門家、初等中等教育の教員を中心とする教育の専門家、教育ソフトウェア・教育コンテンツ作成に関わる企業の専門家の方々の参加を募って、実り多い議論を実現することとしたい。
講演タイトルは、仮題となっておりますが、確定し次第、正しいものに反映させます。
奥村 晴彦(三重大)、大岩 元(慶應義塾大)、筧 捷彦(早稲田大)、兼宗 進(一橋大)、久野 靖(筑波大)、辰己 丈夫(東京農工大、TFコーディネータ)、長 慎也(一橋大)、中野 由章(千里金蘭大)、中森 眞理雄(東京農工大)、並木 美太郎(東京農工大)、西田 知博(大阪学院大)、和田 勉(長野大)